ドメートール
Δμήτωρ
Dmetor

概要

オデュッセウスによる作り話の中で、キュプロスを支配している人として登場する。 物語の中での架空の人。 (ホメーロス, 『オデュッセイア』, 17.443)

出自

父はイーアソス。 母は不詳。 (ホメーロス, 『オデュッセイア』, 17.443)

神話

作り話の登場人物として出て来る以上の情報がない。 作品世界で実在した人物なのか、も不明。

引用

ホメーロス, 『オデュッセイア』 17.443

だが、わたしを彼らは、偶然出会ったかれらの友人、キュプロスを強く支配しているイーアソスの子ドメートールにキュプロスに連れて行くべく与えた。 そこからいま苦労してここに来たのだ。
(高津春繁 訳)

『オデュッセイア』への古注, 17.443

443. Δμήτορι] Κινύρου ἀποθανόντος Δμήτωρ ἐβασίλευσε Κύπρου. ἢ οὐδὲ εἴρηται ὁ Κινύρας ἐν Ἰλιάδι (λ, 20.) Κύπρου βασιλεὺς, ἀλλὰ Κύπριος ἁπλῶς. B.Q.
καὶ ἐν Ἰλιάδι πολλοὶ ὑπὸ βασιλέας ἦσαν. V.
ドメートールに : キニュラースを埋葬したドメートールがキュプロスを統治していた。 あるいは『イーリアス』(11巻20行)で言及のあったキニュラースキュプロスの王でないとしても、キュプロス人が(王統を)単純化している(??)。B.Q.
『イーリアス』では、何人もの王がいる。V.
(2017.11.8. 仮訳)

エウスタティオス, 『ホメーロス注解』, オデュッセイア 17.443への注

(Vers. 443) εἰ δὲ Κινύρας ἐν Ἰλιάδι Κύπρου ἦν βασιλεὺς ἀλλ᾽ ἐκείνου μηκέτ᾽ ὄντος ὁ ῥηθεὶς Δμήτωρ βασιλεῦσαι δοκεῖ.
もし『イーリアス』に出て来るキニュラースキュプロスの王であるならば、この言及されたドメートールがかの地を治めたとは考えられない。
(2017.11.8. 仮訳)

改訂履歴