第24話 アスカラボス(トカゲ)
(この物語をニーカンドロスは『変身物語』第四巻に記載している)
デーメーテール神が自分の娘を捜し求めてあらゆる地をさまよい放浪していた時、彼女はアッティカ地方で休息をとることにした。 灼熱の太陽の暑さに喉が渇ききってしまったこの神を、ミスメーという女性が家に招き入れ、ペニーロイヤルと大麦粉を水に入れた飲み物を与えた。
デーメーテールは喉があまりに渇いていたため、その飲み物を一気に飲んだ。 ミスメーの息子アスカラボスは彼女の飲み方を見て大笑いし、深鍋か水がめで飲み物を与えるようにと命じた。
デーメーテールはこの言葉に憤って、残っていた飲み物を彼に注ぎかけた。
すると彼は、身体から様々な色を発するトカゲ(アスカラボス)に姿を変えてしまった。
こうし神々からも人間からも嫌われるものとなり、溝の中が彼の生活の場となった。
従って、トカゲを殺す者はデーメーテールにとって好ましい者なのである。
(安村典子 訳)