BATRACHOMYOMACHIA---「蛙とネズミの戦争」と題されたこの短い叙事詩は、古代において ホメーロスの作品とされてきました。 この叙事詩と「マルギーテース」と呼ばれた滑稽な内容の叙事詩はホメーロスの習作 とされてきましたが、それは古代ギリシア人にとってホメーロスという名前が単に叙事詩人の 代名詞となっていただけのことかもしれません。 そして、それ以上の注目をあつめることはありませんでしたし、また、これからも 注目を集めることはないでしょう。
この叙事詩の作者はよく判っていません。 おそらくはホメーロス本人の手によるものではないということが、 語句の用法などから推定されているだけです。 一説には、紀元前480年頃に書かれたものであろう、ということです。 ここに収録している訳文は、1997年にサービスを停止してしまったASCIInetのfantasyサロン において、私が英訳からの重訳を試みたものをベースとし、HTMLとして内容を修正した ものです。
この作品の邦訳を私は知りません。 (あれば、このような稚拙な重訳を公開する必要もなかったでしょう) タネ本は Loeb Classical Library No.57, "HESIOD The Homeric Hymns and Homerica", transrated by EVELYN-WHITE(American ISBN 0-647-99063-3/British 0 434 99057 4) で、この本に収録されている英訳からの重訳としました。 このシリーズは、左側のページに校訂されたギリシア語の原テキストが載っている のですが、当然、そんなものは読めません。
題名について少しだけ。 バトラコスはギリシア語で「蛙」を意味します。 綴りを英語のアルファベットに直すと"Batrachos"であることから判るように、英語"Battle"に つながるものではありません。 ミュースは「ネズミ」を意味します。 また、マケーは戦争を意味します。
例えば、ティーターン神族との戦いは「ティーターノマキアー(Titanomachia)」 ですし、ギガース族との戦いは「ギガントマキアー(Gigantomachia)」となります。 この二つは、まったく別の話題なのですが、「でっけーヤツ」が相手であったことが 共通しているために、古代からよく混同されていたようです。
本文の固有名詞の殆どにはコメントへのリンクが張ってあります。 しかし、リンクなどを表すような強調表示は通読の妨げになると判断して、他の本文と 同じように表示するようにしてあります。 リンクの張ってある部分は、マウスのカーソルを近づけると色が変わるようになっている ハズです。 ただし、これらの表示上の体裁はスタイルシートによって記述されており、使われている ブラウザがcss1に対応していないと、表示上の体裁は正しく再現されません。
一通り通読されてから、お好きな固有名詞を選択してみてください。 同じ固有名詞は(当然ながら)同じ項目に飛びます。 コメントの中に出てきた固有名詞の殆どは、ギリシア神話のデータエントリーに飛ぶように しています。 残念ながら、リンク元の情報を管理できるようには作っていないので、元のページに戻るときには お使いのブラウザの「戻る」ボタンで戻ってください。
殆ど無意味に思えるかもしれませんが、パカスカとリンクをたどって別の項目を調べていける、 というのがこのサイトのポリシーであり、サイト製作上の仕様でもあります。