練習 6.2

課題文

Ναυσικάα καὶ αἱ ἀμφίπολοι ἔπαιζον σφαίρᾳ παρὰ τῇ θαλάττῃ.

語彙

文中の語 見出語形 品詞 変化形 主な意味
Ναυσικάα Ναυσικάα 女性名詞 単数/主格 ナウシカー(人名)
καί καί 小辞 この語は変化しない そして
αἱ 定冠詞 女性/複数/主格 ἀμφίπολοιにかかる
ἀμφίπολοι ἀμφίπολος 女性名詞 女性/複数/主格 侍女
ἔπαιζον παίζω 動詞 三人称/複数/未完了/直説法/能動態 遊ぶ
σφαίρᾳ σφαῖρα 女性名詞 単数/与格
παρά παρά 前置詞(与格) この語は変化しない ~のそばで
τῇ 定冠詞 女性/単数/与格 にかかる
θαλάττῇ θάλαττα 女性名詞 単数/与格

脚注

特になし。

出典と翻訳

不明。 とはいえ、『オデュッセイア』第6巻の一場面を思い起こさせる。

おんなたちが、枯れることない水の溜まりがあって、豊かなきれいな水がどんなに汚れた衣類も清めるに十分なほど下から湧いて流れ出ている川の美しい流れにつくと、そこで車から騾馬をき放ち, うまい野草をむように、うず巻く川に沿って追って行き、自分たちは車から手に着物を取って、小暗く深い水に入れ、競いながらふねの中で活発に踏んだ。 だが汚れをすっかり洗い落すと、海が打ち寄せて小石をきれいに洗った浜辺に並べて拡げた。 それから身を清め、オリーヴ油をよく塗って、川の岸辺で食事をとり、着物が日の光で乾くのを待った。 だが腰元たちと姫はもう食事をすませると、ヴェールを脱ぎ捨て、まり遊びを始め、白いかいなのナウシカアーが歌の音頭を取った。
(高津春繁 訳)

メモ

παιζονの形をきちんと把握するのが本課の内容。 ε-が加音、-παιζ-が語幹、-ο-が語幹形成母音、-ν人称語尾Ναυσικάαἀμφίπολοιが主格なので、三人称/複数。 時称接尾辞σがないので、未完了(/直説法/能動態)。

ちなみに、動詞παίζωは男女同形の名詞で子供を意味する語παῖςに関係がある。 子供がする主な行動ということで遊び、ということらしい。

σφαίρᾳの与格は手段の与格(P. 9, §14.3参照)。 τῇ θαλάττῃの与格は前置詞παρὰが要求している。 θάλατταはアッティカ方言。 辞書の見出し語はθάλασσαではないかと思う。 本書(というか、「古典ギリシア語」の初級文法書のほとんど)は「紀元前4,5世紀のアッティカ方言」を中心に学ぶため、このように語形が変わっていることがある。

ἀμφίπολοςは男女同形の形容詞。 定冠詞αἱがあるので、ここでは女性名詞として使われている。 ἀμφί(そば, 両側)で/にπέλω(いる)、またはπολέω(動き回る)する人たちのこと。 合成語は男女同形のことが多い。

以上をふまえて、Ναυσικάαἀμφίπολοςたちはθάλατταのそばでσφαῖραπαίζωしはじめた、くらいの内容が文意。


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