練習 14.8

課題文

τοῦτό ἐστι τὸ ἀδικεῖν, τὸ πλέον τῶν ἄλλων ζητεῖν ἔχειν.

語彙

文中の語 見出語形 品詞 変化形 主な意味
τοῦτο οὗτος 指示代名詞 中性/単数/主格 それ, その
ἐστι εἰμί 動詞 三人称/単数/直説法/能動態 ~である, 存在する
τό 定冠詞 中性/単数/主格 ἀδικεῖνにかかる
τό 定冠詞 中性/単数/主格 ζητεῖνにかかる
πλέον πλείων 形容詞 中性/単数/対格 より多くの
τῶν 定冠詞 男性/複数/属格 ἄλλωνにかかる
ἄλλων ἄλλος 形容詞 男性/複数/属格 他の
ζητεῖν ζητέω 動詞 不定詞/現在/能動態 求める, 探す
ἔχειν ἔχω 動詞 不定詞/現在/能動態 持つ

脚注

第二番目のτόは不定詞ζητεῖνにかかる定冠詞。 こうして名詞化されたτὸ πλέον… 以下が文等のτοῦτοと同格の関係にある。

出典と翻訳

プラトーン, 『ゴルギアース』, 483c

ψόγους ψέγουσιν: ἐκφοβοῦντες τοὺς ἐρρωμενεστέρους τῶν ἀνθρώπων καὶ δυνατοὺς ὄντας πλέον ἔχειν, ἵνα μὴ αὐτῶν πλέον ἔχωσιν, λέγουσιν ὡς αἰσχρὸν καὶ ἄδικον τὸ πλεονεκτεῖν, καὶ τοῦτό ἐστιν τὸ ἀδικεῖν, τὸ πλέον τῶν ἄλλων ζητεῖν ἔχειν· ἀγαπῶσι γὰρ οἶμαι αὐτοὶ ἂν τὸ ἴσον ἔχωσιν φαυλότεροι ὄντες. διὰ ταῦτα δὴ νόμῳ μὲν τοῦτο ἄδικον καὶ αἰσχρὸν λέγεται, τὸ πλέον ζητεῖν ἔχειν τῶν πολλῶν, καὶ ἀδικεῖν αὐτὸ καλοῦσιν· ἡ δέ γε οἶμαι φύσις αὐτὴ ἀποφαίνει

… 賞賛したり、非難したりしているわけだ。 つまり彼らは、人間たちの中でもより力の強い人たち、そしてより多く持つ能力のある人たちをおどして、自分たちよりも多く持つことがないようにするために、余計に取ることは醜いことで、不正なことであると言い、また不正を行うとは、そのこと、つまり他の人よりも多く持とうと務めることだ、と言っているのだ。 というのは、思うに、彼らは、自分たちが劣っているものだから、平等に持ちさえすれば、それで満足するだろうからである。

かくて、以上のような理由で、法律習慣の上では、世の大多数の者たちよりも多く持とうと努めるのが、不正なことであり、醜いことであると言われているのであり、またそうすることを、人びとは不正行為と呼んでいるのだ。 だが、ぼくの思うに、自然そのものが直接明らかにしているのは、…
(加来彰俊 訳)

メモ

課題文の主旨としては、ἀδικεῖνἀδικέωの、ζητεῖνζητέωの不定詞であると把握すること、と思われる。

注記の内容を解釈するならば、τὸ πλέον以降の内容はτοῦτοを言い直している。 コンマ直後のτόζητεῖνにかかっていると考えるから、「ζητέωすることが、そのようなこと(τοῦτο)である」と読む。

コンマ以降の他の内容を見ていくと、πλέονπολύςの比較級πλείων (πλέων)の中性/単数で、これがἔχεῖνの目的語になっている。 比較級があるので、τῶν ἄλλωνの属格は「比較の対象」。 男性でも女性でも中性でも同形だけれども、ここでは恐らく「他の人々」と解して男性と読むのが適切と思われる。 こうして読まれる内容が、主節のτοῦτοを言い換えている、と判断する。

まとめると、「そういったこと(τοῦτο)がἀδικέωすることなのである、つまり、他の人々(τῶν ἄλλων)よりもπλέονなものをἔχωすることをζητέωしていくことが、である」くらいの内容が、本課題文の文意と思われる。


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