ギリシア語方言に対する訳注

アルファベット

ここで書かれている内容は、ギリシア文字の大文字と小文字を別の文字のように扱っているように見えて、少し戸惑うかもしれません。 これは、アルファベットが導入されたごく初期の段階では、必ずしも現代の知見に沿った表記がされているわけではなかった、というように理解しています。 大文字は碑文などに使われている文字、小文字は現代において認知されている綴りでの文字、のように区別されているようです。

𐤎(sāmekh)

ザメク。 フェニキア文字のひとつ。 書き方の流儀によって若干形が違うけれども、この本で使われている文字は漢字の「王」の字に似ている。

𐤇(ḥēth)

ケト。 フェニキア文字のひとつ。 書き方の流儀によって若干形が違うけれども、この本で使われている文字は漢字の「日」の字に似ている。

本文のこの部分では、あまり見たことのない記号*が使われています。 形はアスタリスクにそっくりです。 これに対して全角のアスタリスク*で表記しました。 半角では5方向に表現されることが多いので、6方向に表現される全角記号を使っています。

流音(liquid)

ギリシア語では一般にλ, ρ, μ, νを指しますす。 ただし分類の流儀によってはμ, νを鼻音(nazal)に分類することもあります。

ϟ

ここで使われているグリフはkまたはq音を表すϙ(koppa)の異字体です。 本文では「尖ったS」としか表現のしようのない、この字体によく似た文字が使われていますが、表す音はs音です。 本文は碑文に書かれている文字を模しているため、適当なグリフがなくてこの文字を使っています。

Ϻ(san)

サン。 今では使われなくなったギリシア文字のひとつ。 アルファベットのMによく似た形をしている。 本文に見られるように、音価はs音であった。

Ͷ

このグリフはvまたはw音を表すϜ(digamma)の異字体です。 本文では、もう少し反時計回りに傾いています。 本文中で「Ϻ(san)を簡略化した」と書かれているように、Ϻ(san)の一番左の縦線を取り除いたものを考えていただければ、間違いありません。

Ͳ(sampi)

sampiとして知られている失われた文字には他にϡがあり、こちらは数詞を表す文字としてϡ'が900を表すものとされています。

Β

本文ではどう見ても「尖ったΒ」にしか見えない文字が使われています。 時代を前後する文字に似たものがないかを探してみましたが、ないようです。 仕方がなくΒのグリフを使っていますが、ここでは一般的な理解でのb音を表すものではなく、本文の通りe音を表すものです。


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