動詞(verb)
- 動詞は態(voice)、法(mood)、人称(person)、数(number)、時称(tense)によって変化(conjugation)する。
- 文法書によってはvoiceを「相」としているものもあるが、現代では「相」はaspectの訳語となっているので、本サイトでは用語を「態」に統一している。
- 上記のように動詞は人称によっても変化するので、ギリシア語においては主語を明示しない文は普通にある。
- 動詞の変化は時称幹(tense stem)に人称語尾(personal endings)を加えたものから成る。
- 時称幹は動詞の基本的な意味を表す動詞幹(verb stem)をそれぞれの時称に応じて変形して作る。
- 時称幹を構成するものには加音(augument)、畳音(reduplication)、語根(root)、態接尾辞(voice suffix)、時称接尾辞(tense suffix)、法接尾辞(mood suffix)、語幹形成母音(幹母音)(thematic vowel)などがある。
- 動詞はその人称語尾からω動詞とμι動詞に分類できる。
- 動詞における辞書の見出し形は一般に、一人称/単数/現在/直説法/能動態である。
- ただし能相欠如動詞と呼ばれる種類の動詞があり、これは文字通り能動態がない。このような動詞は辞書の見出し形として語尾が一人称/単数/現在/直説法/中動態または受動態の-μαιで終わっている。
- 必要に応じて、動詞から分詞および不定詞が作られる。
- ギリシア語での動詞代表形は、一人称現在直説法能動態の形を用いて、不定形は使わない。
態(voice)
態とは、動詞の表す動作に主語がどのように関わるかを表現する。
- 古典ギリシア語の態には以下の3つがある。
- 能動態(active)
- 中動態(middle)
- 受動態(passive)
法(mood)
法は文の内容に対する話者の心的態度を示す動詞の語形変化をいう。
- 古典ギリシア語の法には以下の4つがある。
- 直説法(indicative)
- 接続法(subjunctive)
- 希求法(optative)
- 命令法(imperative)
- 場合によっては、これに不定法(infinitive)を加えて、5つとすることもある。
人称(person)
- 人称には一人称(first)、二人称(second)、三人称(third)の3つがある。
数(number)
- 数には単数(singular)、複数(plural)、双数(dual)がある。
- 双数は単に二つあるという場合ではなく、両者が特に密接な関係があるときのみ使われ、他の場合は複数形が使われる。
- 動詞変化においては、一人称に双数形はない。
時称(tense)
- 時称には7つある。
- 現在(present)
- 未来(future)
- 未完了過去(imperfect)
- アオリスト(aorist)
- 現在完了(perfect)
- 過去完了(pluperfect)
- 未来完了(future perfect)
- 現在、未来、現在完了、未来完了の4つの時称を本時称(primary tense)という。
- 未完了過去、アオリスト、過去完了の3つの時称を副時称(secondary tense)という。
本時称/副時称 | 時間区分 | 時称 | ||
---|---|---|---|---|
本時称 | 現在 | 現在 | 現在完了 | |
未来 | 未来 | 未来完了 | ||
副時称 | 過去 | 未完了過去 | アオリスト | 過去完了 |