練習 7.10

課題文

παρὰ τὸν ποταμὸν ηὗρον οἱ στρατιῶται κώμας πολλὰς μεστὰς σίτου καὶ οἴνου. ἐνταῦθα ἔμειναν ἡμέρας τρεῖς.

語彙

文中の語 見出語形 品詞 変化形 主な意味
παρά παρά 前置詞 この語は変化しない (対格)のそばへ, に沿って
τόν 定冠詞 男性/単数/対格 ποταμόνにかかる
ποταμόν ποταμός 男性名詞 単数/対格
ηὗρον εὑρίσκω 動詞 三人称/複数/アオリスト/直説法/能動態 発見する
οἱ 定冠詞 男性/複数/主格 στρατιῶταιにかかる
στρατιῶται στρατιώτης 男性名詞 複数/主格 兵士
κώμας κώμη 女性名詞 複数/対格
πολλάς πολύς 形容詞 女性/複数/対格 たくさんの
μεστάς μεστός 形容詞 女性/複数/対格 (属格に)満ちた
σίτου σῖτος 男性名詞 単数/属格 食糧
καί καί 小辞 この語は変化しない そして
οἴνου οἶνος 男性名詞 単数/属格 葡萄酒
ἐνθαῦτα ἐνθαῦτα 副詞 この語は変化しない その場所で
ἔμειναν μένω 動詞 三人称/複数/アオリスト/直説法/能動態 とどまる
ἡμέρας ἡμέρα 女性名詞 複数/対格
τρεῖς τρεῖς 基数詞 女性/複数/対格 3

脚注

出典と翻訳

Ξενοφῶν, 『アナバシス』, 1. 4. 19

ἐντεῦθεν ἐξελαύνει διὰ τῆς Συρίας σταθμοὺς ἐννέα παρασάγγας πεντήκοντα· καὶ ἀφικνοῦνται πρὸς τὸν Ἀράξην ποταμόν. ἐνταῦθα ἦσαν κῶμαι πολλαὶ μεσταὶ σίτου καὶ οἴνου. ἐνταῦθα ἔμειναν ἡμέρας τρεῖς καὶ ἐπεσιτίσαντο.

ここからシリアを通り行程九日、五〇パラサンゲスを進んで、アラクセス河に達した。 ここには穀物と葡萄酒ぶどうしゅを豊富に貯えた多数の村落があり、キュロス軍はここに三日間逗留し、食糧を補給した。
(松平千秋 訳)

メモ

ηὗρονεὑρίσκωの第二アオリストで、この形を把握することが本課題文の主旨と思われる。 語幹ἑυρにおいて先頭の母音が時量的加音によってとなり、語幹形成母音ο人称語尾νが続く。 未完了では現在と同じ語幹を持つので、この場合はηὕρισκονとなるハズなので、これはアオリスト。 ισκの部分の色を変えているのは、現在形を作るために語幹に挿入された部分であるため。

副時称の人称語尾は一人称/単数と三人称/複数で同形だが、文脈から三人称/複数。 したがって、三人称/複数/第二アオリスト/直説法/能動態。

ἔμεινανは第一アオリスト。 P. 23, §38.3にあるように

そして、加音εが語頭についている。 この結果として、この語のアオリスト形はμεινανのようになる。

代償長音化 (compensatory lengthening)

母音が要素として長音化される変化や過程が失われること。 例えば形態の代償長音化としては、古代ギリシア語のmelan(‘black’)+-s(単数主格)がmelāsへ変化したものがある。
Peter Hugoe Matthews, 中島平三・瀬田幸人 監訳, オックスフォード言語学辞典, 朝倉書店, 2009(原著1997)

ἡμέρας τρεῖςの対格はP. 27, §46.1にある通り、期間を表す時間表現で、この課での主要な学習内容の一つ。

これらを考え併せて、「ποταμόςに沿って(παρά)στρατιώτηςたちはσῖτοςと(καί)οἶνοςに満ちた(μεστός)χώμηεὑρίσκωした。 その場所で(ἐνθαῦτα)、彼らは三日間(ἡμέρας τρεῖς)μένωした」くらいの内容が文意。


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