練習 9.3

課題文

ἴσον ἐστὶν ὀργῇ καὶ θάλαττα καὶ γυνή.

語彙

文中の語 見出語形 品詞 変化形 主な意味
ἴσον ἴσος 形容詞 中性/単数/主格 等しい
ἐστίν εἰμί 動詞 三人称/単数/現在/直説法/能動態 ~である
ὀργῇ ὀργή 女性名詞 単数/与格 激情, 怒り
καί καί 小辞 この語は変化しない 脚注参照
θάλαττα θάλαττα 女性名詞 単数/主格
καί καί 小辞 この語は変化しない 脚注参照
γυνή γυνή 女性名詞 単数/主格 女, 妻

脚注

καὶ A καὶ B : AもBも。

出典と翻訳

不明。

テキストでは出典を明示していないが、田中秀央 落合太郎 編著, ギリシア・ラテン引用語辞典, 岩波書店では、メナンドロスの一行格言集(Monosticha)として知られるもののNo. 264として

ἴσον ἐστὶν ὀργῇ καὶ θάλασσα καὶ γυνή.

を引いている。 θάλατταθάλασσαのアッティカ方言。 初級文法書は基本的に紀元前5-4世紀ころのアッティカ方言を中心に学ぶので、それに合うように改変してあると考えれば、両者は同じものと思える。

メモ

ὀργῇの与格が限定の与格である、と読み解くことが本課題文の主旨と思われる。 つまりここでは「ὀργήという点においては」、くらいの意味。

中性の形容詞ἴσονを、名詞的に「ἴσοςなもの」と読むか、中性の形容詞を副詞的に読むことが少なくないので副詞的に「ἴσοςである」と読むかで悩むが、どちらで読んでも(少なくとも表面上の)文意は大して変わらない。

まとめると、「ὀργήという点においては、θάλατταγυνήἴσοςである」、くらいの内容が文意。

神話においてもパンドーラーを、人類にとってのすべての不幸の始まりのように表現していることからもわかるように、古代ギリシアにおいては、実際にどうであったかはともかく、少なくとも文学的表現の上では女性に対する評価が非常に悪いことが多い。


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