練習 16.4

課題文

ὁ γὰρ καιρὸς πρὸς ἀνθρώπων βραχὺ μέτρον ἔχει.

語彙

文中の語 見出語形 品詞 変化形 主な意味
定冠詞 男性/単数/主格 καιρόςにかかる
γάρ γάρ 小辞 不変化詞 理由を表す
καιρός καιρός 男性名詞 単数/主格 好機
πρός πρός 前置詞 この語は変化しない ~(属格)にとって
ἀνρώπων ἄνθρωπος 男性名詞 複数/属格 人間
βραχὺ βραχύς 形容詞 中性/単数/対格 短い
μέτρον μέτρον 中性名詞 単数/対格 ものさし, 尺度, 適度
ἔχει ἔχω 動詞 三人称/単数/現在/直説法/能動態 持つ, ~の状態である

脚注

特になし。

出典と翻訳

ピンダロス, 『ピューティア祝旋歌』, 第4歌286行
この付近を見てみると

στρ. ιγʹ τῶν δ᾿ Ὁμήρου καὶ τόδε συνθέμενος ῥῆμα πόρσυν᾿· ἄγγελον ἐσλὸν ἔφα τιμὰν μεγίσταν πράγματι παντὶ φέρειν· αὔξεται καὶ Μοῖσα δι᾿ ἀγγελίας ὀρθας. ἐπέγνω μὲν Κυράνα καὶ τὸ κλεεννότατον μέγαρον Βάττου δικαιᾶν280 Δαμοφίλου πραπίδων. κεῖνος γὰρ ἐν παισὶν νέος, ἐν δὲ βουλαῖς πρέσβυς ἐγκύρσαις ἑκατονταετεῖ βιοτᾷ, ὀρφανίζει μὲν κακὰν γλῶσσαν φαενναᾶς ὀπός, ἔμαθε δ᾿ ὕβρίζοντα μισεῖν, ἀντ. ιγʹ οὐκ ἐρίζωνἀντία τοῖς ἀγαθοῖς,285 οὐδὲ μακύνων τέλος οὐδέν. ὁ γὰρ καιρὸς πρὸς ἀνθρώπων βραχὺ μέτρον ἔχει. εὖ νιν ἔγνωκεν· θεράπων δέ οἱ δράστας ὀπαδεῖ φαντὶ δ᾿ ἔμμεν τουτ᾿ ἀνιαρότατον, καλὰ γιγνώσκοντ᾿ ἀνάγκᾳ ἐκτὸς ἔχειν πόδα. καὶ μὰν κεῖνος Ἄτλας οὐρανῷ προσπαλείει νῦν γε πατρῴας ἀπό τε κτεάνων·290 λῦσε δὲ Ζεὺς ἄφθιτος Τιτᾶνας. ἐν δὲ χρόνῳ μεταβολαὶ λήξαντος οὔρου ἐπ. ιγʹ ἱστίων. ἀλλ᾿ εὔχεται οὐλομέναν νοῦσον διαντλήσαις ποτὲ οἶκον ἰδεῖν, ἐπ᾿ Ἀπόλλωνός τε κράνᾳ συμποσίας ἐφέπων θυμὸν ἐκδόσθαι πρὸς ἥβαν πολλάκις, ἔν τε σοφοῖς295 δαιδαλέαν φόρμιγγα βαστάζων πολίταις ἡσυχίᾳ θιγέμεν, μήτ᾿ ὦν τινι πῆμα πορών, ἀπαθὴς δ᾿ αὐτὸς πρὸς ἀστῶν. καὶ κε μυθήσαιθ᾿ ὁποίαν, Ἀρκεσίλα, εὗρε παγὰν ἀμβροσίων ἐπέων, πρόσφατον Θήβᾳ ξενωθείς.

[ストロペ 13] また次のホメロスの言葉も心して聞き 尊びたまえ。「よい使者は、何事にも重みを加える」と彼は語った(『イーリアス』, 15巻207行) ムーサもまた、正しい使いを介するとき、その威厳を増す。キュレネは、 またバットスの名高い館は、ダモピロスの公正な心ばえを 知っている。彼は少年たちの間では若々しく、 評議の場では百年の齢に達した長老であり、 明るい声にはまがまがしい口舌を交えない。 そして暴慢な者を憎むことを学んで [アンティストロペ 13] 貴顕きけんの人と争わず、 決して実行を先延ばしにすることもない。**課題文引用箇所** 彼はそれをよく知っている。そしてそれに下僕としてではなく、補佐としてつき従う。人は言う、 望ましいことを知っていながら、やむを得ず そのらち外に立っていねばならぬという境遇ほどつらいことはない、と。まさしく彼はアトラスのように今 天と組み打ちしながら、父祖の地からも財産からも遠ざけられている。 しかし不滅のゼウスは、ティタンたちを開放した。時たてば 風の止むとともに、 [エポドス 13] 帆の用い方も変わるもの。だが彼の願いは、いまわしい災難をいつの日か尽き果てさせ、 おのれの館に再開して、 誰にも禍をもたらさず、自分も市民から害を受けることなしに、 アポロンの泉のそばで宴に列なって青春の喜びにしばしば心を捧げたい、また、 智ある市民たちに囲まれながら見事な竪琴を手にして平安を楽しみたい、ということ。 また彼は、アルケシラオスよ、この前テバイで自分がもてなしを受けた時 不死の詩句が流れ出るどのような泉を見出したか語りもするだろう。 (内田次信 訳)

この祝旋歌自体は、キュレーネーのアルケシラーオスが戦車協議で優勝したときのものではあるが、課題文引用箇所はダーモピロスの人となりに関する言及の一部。 彼は時を過たず実行する人であり、課題文に引用した内容のことを彼はよく知っているのだ、と述べている。

メモ

βρακύς§84にあるἡδύςと同じ変化をする。 つまりこの語の変化が、この課の大きなテーマの一つとなっている。

γάρは前の文章でダーモピロスの人となりの一つとして、物事を先延ばしにせず、時宜を違わず実行することが述べられており、課題文引用箇所でそのことを受けて理由を述べ、続く文章でそのことを彼はよく知っている、と述べている。

前置詞πρόςは次に属格が続いていることから属格支配である、と考える。 P.199に出て来る付録F. 主な前置詞一覧では属格支配の意味としてa)~から、b)~の名にかけて、くらいしか出ていないが、この文に関していえばどちらもあまり適切であるとは思えない。 辞書には属格支配のときon the side of, towardsといった意味もあるとされており、ἄνθρωποςたちの側に立ってみれば=ἄνθρωποςたちにとって、くらいの意味であろうと思われる。

そうすると、「(前の文でそう述べたその理由は)ὁ καιρόςἄνθρωποςたちにとってβρακύςμέτρονἔχωしているからだ」くらいの内容が本課題文の文意と思われる。 ただしἔχωは状態を表わすときにも使われることがある、ということに注意。


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