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希求法の用法について(目次)

英語原文

The optative is commonly a less distinct and direct form of expression than the subjunctive, imperative, or indicative, in constructions of the same general character as those in which these moods are used.

日本語解釈

希求法は通例、他の法つまり接続法や命令法、直説法などと同様な一般的な特徴を持つ構文において比べて見た場合、わずかではあるが明瞭な違いを持ち、表現に関して順行形を持つ。

メモ

順行じゅんこう(direct)」は「逆行ぎゃっこう(inverse)」に対する対立概念として使われる語。 『オックスフォード言語学辞典』, 朝倉書店によると

逆行(inverse) : (動詞や接辞の形式に関して) 例えば、アルゴンキン語族の言語において、節の中にある共感の尺度が異なる2つの要素について、動作主となるのは尺度において低い方の要素であることを示すもの。

順行(direct) とはその反対。 第三人称が尺度において第一人称よりも低い場合、I kissed the sister という意味の文は順行として[何らかの]しるしがつけられる。 人称をそれぞれの接頭辞や接尾辞を付加することにより明示し概略的に表せば、一人称-kissed-順行-三人称 sister となる。 代わりに、The sister kissed me という意味の文は、逆行としてのしるしがつく。 人称に同じ方法で同じ位置にしるしをつけると、一人称-kissed-逆行-三人称 sister となる。

とある。

形態論として見た場合、希求法では動詞幹形成母音(thematic vowel)が現れる場合は必ず ο をとり、それに法接尾辞として ι または ιη が続く。 この結果多くの場合、希求法をと取っている動詞の中に -οι- という文字の組み合わせを見ることができる。例えば動詞幹形成母音法接尾辞を色で示すと

παιδεύω希求法/能動態/現在
単数 一人称παιδεύοιμι
二人称παιδεύοις
三人称παιδεύοι
双数 二人称παιδεύοιτον
三人称παιδευοτην
複数 一人称παιδεύοιμεν
二人称παιδεύοιτε
三人称παιδευοιεν

といった具合である。 このため、希求法は他の法がとる形とは明確に区別できることが多い。

たとえば、παιδεύωという形だけでは、それが一人称/単数/現在/直説法/能動態なのか、一人称/単数/現在/接続法/能動態なのか判別ができない。 また、παιδεύετεという形だけでは、それが二人称/単数/現在/直説法/能動態なのか、二人称/複数/現在/命令法/能動態なのか判別できない。

このゆえに希求法は他の法とは less distinct (わずかではあるが、明瞭な違い) を持っている、というのだろう。


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