§193.
英語原文
There is no word or expression in English which can be used separately to translate ἄν. In its first use (192, 1) we express it by the form of the verb which we use ; as ἔλθοι ἄν, he would go ; ἦλθεν ἄν, he would have gone. On its second use, with the subjunctive, it generally has no force that can be made perceptible in translation.
The peculiar use of ἄν can be understood only by a study of the various constructions in which it occurs. These are enumerated below, with references (when it is necessary) to the more full explanation of in Chapter IV.
日本語解釈
英語の単語の中に、ἄν に一対一で対応する語はない。 その第一の用法(192, 1)では、英語での動詞表現を示し、例文を挙げるならば以下のようになる。
ἔλθοι ἄν. (彼は行くかもしれない)
ἦλθεν ἄν. (彼は行ったかもしれない)
※ ここで使われている動詞は三人称単数なので、「彼」ではなくて「彼女」とか「それ」なのかもしれません。 主語として何が本当に適切であるか、は文脈によります。 ここでは英文の翻訳例に合わせて「彼」としています。
※ ἔλθοι は ἔρχομαι の三人称/単数/第二アオリスト/希求法/能動態。 ἦλθεν は ἔρχομαι の三人称/単数/第二アオリスト/直説法/能動態。 ἔρχομαι という能動態欠如動詞に見える語の変化形なのに「能動態」って書くのはどうなの??とも思ったのですが、この動詞は「行く」を意味する動詞 εἶμι の未来として使われることもあり、PERSEUSのLook Up Toolに出てきた内容を丸写し(2018.11.26現在)にしてしまいました。
※ どちらの例文も第二アオリストなのに、動詞が表す時称が違うのかと疑問に思われる方がいるかもしれません。
これは動詞が直説法であるか他の法であるか、によります。
希求法は基本的に願望を表わす法ですから、その動詞が表す動作は未来(つまり現在よりも時間的に後に起こる動作)に属しています。
つまり希求法での時称の違いは動作態の違いとして表現され、アオリストは主に一回的行為として表現されます。
アオリストが直説法で過去を表わすときには、単にある動作をしたかどうか、を表現しています。
第二の用法では、接続法の動詞と共に用いられるが、英語に翻訳するときに特定の語句の組み合わせをあてはめられないことを示した。
様々な構文における、あまり一般的ではない ἄν の用法は、それぞれの議論の中で見ていく。 その詳細な議論のリストは目次のChapter IVで示すことにする。
※ 紙の本であればChapter IVをめくって眺めればいいのですが、サイトで一覧を示すには目次によるリストということにしています。