練習 6.1
課題文
μετὰ τῆν μάχην οἱ στρατιῶται ἔφευγον εἰς τὰς Ἀθήνας.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
μετά | μετά | 前置詞(対格) | この語は変化しない | ~の後で |
τῆν | ὁ | 定冠詞 | 女性/単数/対格 | μάχηνにかかる |
μάχην | μάχη | 女性名詞 | 単数/対格 | 戦い |
οἱ | ὁ | 定冠詞 | 男性/複数/主格 | にかかる |
στρατιῶται | στρατεώτης | 男性名詞 | 複数/主格 | 兵士 |
ἔφευγον | φεύγω | 動詞 | 三人称/複数/未完了/直説法/能動態 | 逃げる |
εἰς | εἰς | 前置詞(対格) | この語は変化しない | ~の中へ |
τάς | ὁ | 定冠詞 | 女性/複数/対格 | Ἀθήναςにかかる |
Ἀθήνας | Ἀθῆναι | 女性名詞 | 複数/対格 | アテーナイ市 |
脚注
特になし。
出典と翻訳
不明。
メモ
動詞ἔφευγονをよく見ると、ε-が加音、-φευγ-が動詞の語幹、-ο-が語幹形成母音、-νが人称語尾。 一人称/単数か三人称/複数かの判断は、主格としてοἱ στρατιῶταιがあるので、三人称/複数。 a) 加音がついているので副時称、b) 語幹が現在と同じ、c) 時称接尾辞がみあたらない、d) 人称語尾が副時称、などの理由から、これが未完了(/直説法/能動態)であることがわかる。
a) とd) が判断基準として重複しているように見えるが、叙事詩などの韻文では、韻律の要求から加音が省略されていて、人称語尾や動詞の語幹を手がかりとして本時称なのか副時称なのかなどを判断しなければならないときがある。 また動詞によっては、未完了とアオリストが同形のときもある。
語尾の-νが付加音のνではなくて人称語尾とわかるのは、語幹形成母音がοだから。 この語幹形成母音がοとなるのは、続く文字がμかνのとき(P. 18, §29. 参照)。 これが付加音のνであるならば、語幹形成母音はεでなければならない。
出典がわからないので文脈が読めず、未完了のニュアンスがよくわからない。 未完了は過去における動作で、特に
- 動作の繰り返し/習慣
- 動作の開始
を表すのに用いられる(P. 23, §40.参照)。 ただ、単に過去のこととして記述している(文脈上、上記のような違いを意識しても、あまり意味の違いを感じられない)場合も少なくない。 それゆえ
- μάχηがあるごとにφεύγωしていたのか
- 特定のμάχηのあとでφεύγωし始めたのか
- アオリストと明確な表現の区別がなく、単にφεύγωしたことがあったのか
これらのどのようなニュアンスなのかがわからない。 今は仮に過去における動作の開始として考え、μάχηの後でστρατιώτηςたちはἈθῆναιへとφεύγωし始めた、を文意としておく。 ただ、日本語としては、μάχηが終わるとστρατιώτηςたちはἈθῆναιへとφεύγωし始めた、とした方が自然かもしれない。