練習 7.9
課題文
διὰ τῶν ἡδονῶν ἤγαγεν ἡ ὁδὸς εἰς τὴν δουλείαν.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
διά | διά | 前置詞 | この語は変化しない | (属格を)通って |
τῶν | ὁ | 定冠詞 | 女性/複数/属格 | ἡδονῶνにかかる |
ἡδονῶν | ἡδονή | 女性名詞 | 複数/属格 | 快楽 |
ἤγαγεν | ἄγω | 動詞 | 三人称/単数/アオリスト/直説法/能動態 | 導く, 連れて行く |
ἡ | ὁ | 定冠詞 | 女性/単数/主格 | ὁδόςにかかる |
ὁδός | ὁδός | 女性名詞 | 単数/主格 | 道 |
εἰς | εἰς | 前置詞 | この語は変化しない | (対格へ)向って |
τὴν | ὁ | 定冠詞 | 女性/単数/対格 | δουλείανにかかる |
δουλείαν | δουλεία | 女性名詞 | 単数/対格 | 隷属 |
脚注
ἤγαγεν : ἄγωの三人称/単数/第二アオリスト/直説法/能動態, このアオリストは「格言のアオリスト(gnomic aorist)」と呼ばれるもので、過去に訳す必要はない。
格言的 (gnomic, [nəʊmɪk])
特定の時間を示さない無時間的陳述において用いられる。
例えば、Cows eat grass において現在時制(eat)は格言的である、あるいは格言的用法をもつ。
Peter Hugoe Matthews, 中島平三・瀬田幸人 監訳, オックスフォード言語学辞典, 朝倉書店, 2009(原著1997)
出典と翻訳
不明。
メモ
ἤγαγενが第二アオリストなので、この形をきちんと見極めることが本課題の主旨と思われる。 この場合の語幹はαγαγというかなり変わった形をしている。 時量的加音をとって語幹先頭のαがηになり、残りの語幹であるγαγ、語幹形成母音であるε、付加音のνと続く。 したがってこれは、三人称/単数/第二アオリスト/直説法/能動態。
これを未完了とは読まない理由は、未完了の語幹は現在と同じものを使うのが原則なので、語幹はαγであり、時量的加音をとってἦγε(ν)になると思われるから
この場合のアオリストは「格言のアオリスト」だと脚注にあるので、「δουλείαへ向う(εἰς)ὁδός(というもの)はἡδονήを通って(διά)ἄγωする(ものである)」、くらいの内容が文意。