練習 7.8
課題文
ὁ Θεμιστοκλῆς ἔπεισε τοὺς Ἀθηναίης τῷ ναυτικῷ πιστεύειν.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
ὁ | ὁ | 定冠詞 | 男性/単数/主格 | Θεμιστοκλῆςにかかる |
Θεμιστοκλῆς | Θεμιστοκλῆς | 男性名詞 | 単数主格 | テミストクレース |
ἔπεσε | πείθω | 動詞 | 三人称/単数/アオリスト/直説法/能動態 | 説得する |
τούς | ὁ | 定冠詞 | 男性/複数/対格 | Ἀθηναίουςにかかる |
Ἀθηναίους | Ἀθηναῖος | 男性名詞 | 複数/対格 | アテーナイ人 |
τῷ | ὁ | 定冠詞 | 中性/単数/与格 | ναυτικῷにかかる |
ναυτικῷ | ναυτικόν | 中性名詞 | 単数/与格 | 艦隊 |
πιστεύειν | πιστεύω | 動詞 | 不定詞/現在/能動態 | (与格を)信頼する |
脚注
Θεμιστοκλῆς : 第三変化名詞
出典と翻訳
不明。
ヘーロドトス, 『歴史』, 7. 143付近で語られる、第二次ペルシア戦争でのハイライトを要約したもの。 ペルシア帝国の来襲に際して、デルポイの神託はギリシア軍が壊滅的な打撃を受けるであろうことを告げる。 土地の名士アンドロプスの子ティモーンの勧めによって、再度デルポイに神託を求めたところ、「木の砦」が不落の塁となるであろうことが告げられる。 この「木の砦」について、大きく意見が二つに分かれた。
- アテーナイのアクロポリスに茨の垣がめぐらせてあったため、アクロポリスを指すと考える者
- 「木の砦」=船だとする者
テミストクレースは、神託の最後の方に出て来る「聖なるサラミス」という言葉に着目し、海戦をするであろうサラミスが「非情なる」ではなくて「聖なる」と形容されていることから、海戦を行えば敗走するのは敵軍であるとして主張して、賛意を得たことを課題文は簡潔に述べている。
メモ
ἔπισεはアオリストであるが第一アオリスト。 時の表現や結果文もないことから、やはり出題意図がよくわからない課題文ではある。 一応ἔπεισεを確認しておくと、加音としてε、語幹は本来πειθであるが、時称接尾辞のσが直後に続くことで末尾のθが脱落し、語幹形成母音のεで終わっていることから、これは三人称/単数/第一アオリスト/直説法/能動態であることがわかる。
πιστεύωは「(与格を)信頼する」くらいの意味であるから、「ΘεμιστοκλῆςはἈθηναῖοςたちに対してναυτικόνをπιστεύωするようにとπείθωした」くらいの内容が文意。