練習 15.1
課題文
ἐγώ εἰμι τὸ Ἄλφα καὶ τὸ Ὦμεγα, ἀρχὴ καὶ τέλος.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
ἐγώ | ἐγώ | 人称代名詞 | 男性/単数/主格 | 私 |
εἰμι | ἐιμί | 動詞 | 一人称/単数/現在/直説法/能動態 | ~である, 存在する |
τό | ὁ | 定冠詞 | 中性/単数/主格 | Ἄλφαにかかる |
καί | καί | 小辞 | この語は変化しない | そして |
τό | ὁ | 定冠詞 | 中性/単数/主格 | Ὦμεγαにかかる |
ἀρχή | ἀρχή | 女性名詞 | 単数/主格 | 始め, 支配 |
καί | καί | 小辞 | この語は変化しない | そして |
τέλος | τέλος | 中性名詞 | 単数/主格 | 終わり, 最後, 目的 |
脚注
特になし。
出典と翻訳
“Ἐγώ εἰμι” τὸ Ἄλφα καὶ τὸ Ὦ, λέγει “Κύριος, ὁ θεός, ὁ ὢν” καὶ ὁ ἦν καὶ ὁ ἐρχόμενος, “ὁ παντοκράτωρ.”
(新共同訳)
メモ
人称代名詞ἐγώの種類と形を把握することが、本課題文の主旨と思われる。 性は男女同形ではあるが、引用を見る通り、これはΚύριοςのこと。 LSJ, B.4を見るとキリスト教での表現におけるΚύριοςは男性名詞なので、男性とした。
余談だが、引用文ではὁ θεόςとなっているので男性となっており、女性名詞としてはθεάがよく使われるとはいえ、θεόςを女性名詞として使われることがある。
基本的な構文は非常に簡単で、A=Bとなるcopula文。 主格とイコールで結ばれるから、それぞれの定冠詞と対応する中性名詞は主格。 コンマ以降はそれを言い換えている。 つまり、「私は(ἐγώ)、Ἄλφαである(εἰμί)そして(καί)、Ὦμεγαでもある。(つまり私は)ἀρχήで(あって)更に(καί)、τέλοςでもある。」くらいの内容が、本課題文の文意と思われる。
動詞εἰμίから一人称であることが判るのに、わざわざ人称代名詞ἐγώを入れていることに、それが「私(= ὁ Κύριος)」であることを強調したい意図を感じる。