§1.

§2. ⇒

英語原文

The Mood of a verb shows the manner in which the assertion of the verb is made.

The Greek verb has four moods, properly so called,—the indicative, the subjunctive, the optative, and the imperative. The infinitive, which is a verbal noun, and the pariciple and the verbal in -τέος, which are verbal adjectives, are so closely connected with the moods in many construction, that they are discussed with them in Syntax.

The four proper moods, as opposed to the infinitive, are sometimes called the finite moods. The subjunctive, optative, imperative, and infinitive, as opposed to the indicative, are sometimes called the dependent moods.

日本語解釈

動詞の法は、その動詞が用いられたときに(話者が)主張している「(動作の)やり方」を表わす。

ギリシア語の動詞には4つの法—そう言われている—があり、それは直説法(Indicative)、接続法(Subjunctive)、希求法(Optative)、命令法(Imperarive)である。 不定詞とは、動詞から派生した名詞的な意味を持つ語である。 一方分詞および語尾が-τέοςに終わる動形容詞は、動詞から派生した形容詞であり、多くの構文で動詞の法により深くかかわっている。 このことに関しては、個々の構文論において触れていく。

4つの本来的な法は不定詞に対するものとして、しばしば「定の(finite)」法と呼ばれる。 また、接続法、希求法、命令法、そして不定詞は直説法に対するものとして、しばしば「従属的な(dependent)」法と呼ばれる。

メモ

法(mood)の定義について

私の理解が浅いせいか、最初から読み方に詰まってしまう。 最初のパラグラフでは文法区分としての「法」(mood)を説明しているのだが、法とは「動詞が発話された(is made)ときの(話者による)主張のmanner」である、とされている。

mannerの解釈に悩むが、ここで言わんとしていることは、日本語版wikipediaでのモダリティに近いニュアンス(2019.3.3現在)であるように感じる。 つまり「話している内容に対する話し手の判断や感じ方を表す言語表現」というもの。

第二パラグラフの"properly"について

第二パラグラフの"properly"はどう訳していいのかわからなかったので、こっそりオミットしてしまった。 properlyという語を使っているのは、不定詞を「不定法」として法の一つに数える流儀もあるが、そうではなくて不定詞は法から除外するという立場を明確にするためであろうと思われる。 例えば、田中 松平, 『ギリシア語入門』の§36.には

法には直説法(Indicative)、接続法(Subjunctive)、希求法(Optative)、命令法(Imperarive)の四つがある。 これに不定法(Infinitive)を加えることもある。

という指摘がある。 Goodwin自身も5版まではこの§1.で

The Greek verb has five Moods, the Indicative, Subjunctive, Optative, Imperative, and Infinitive. The first four as opposed to the Infinitive, are called finite moods.

と書いている。

これに対してGoodwinはこの版では、不定詞は「動詞から派生した名詞的な意味を持つ語(verbal noun)」としている。 ギリシア語の名詞は性を持ち(不定詞を名詞として扱うときには、一般に中性名詞とみなされる)、数と格によって名詞的変化(declension)をするのが普通なのだが、不定詞は数や格による変化はしない。 もちろん、不定詞を名詞化するために定冠詞を伴うとき、定冠詞は文脈上とるべき性/数/格の変化をする。 従ってこれを「動詞から派生した名詞」と読んでしまうと正確に意図が伝わらないときがあると感じて、ここでは「動詞から派生した名詞的な意味を持つ語」とした。

verbalとverbal adjectiveについて

普通、verbal adjectiveは動形容詞を意味し、分詞(participle)とは区別される。 しかし、ここでのverbal ajdectiveは分詞と動形容詞のことを指しているので、「動詞から派生した形容詞的な意味を持つ語」であることに注意。 そのためか、動形容詞のことをverbalとだけ書いている。

finite moodsとdependent moodsについて

これらの語は、本文中によく出て来る。 まとめると

である。 (第5版まで「法」に入れていたものの、この版では「法」から除外している不定詞も「従属的な法」に含まれていることに注意すること)


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