練習 7.2
課題文
οὕτως ἀγαθὸς ἦν ὥστε μὴ φεύγειν.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
οὕτως | οὕτω | 副詞 | この語は変化しない | このように |
ἀγαθός | ἀγαθός | 形容詞 | 男性/単数/主格 | 善い, 勇敢な |
ἦν | εἰμί | 動詞 | 三人称/単数/未完了/直説法/能動態 | ~である |
ὥστε | ὥστε | 副詞 | この語は変化しない | ~ほど, その結果 |
μή | μή | 否定辞 | この語は変化しない | ~ない |
φεύγειν | φεύγω | 動詞 | 不定詞/現在/能動態 | 逃げる |
脚注
特になし。
出典と翻訳
不明。
メモ
P. 27, §45.2の「当然起こる, あるいは十分起こりうると考えられる結果は, ὥστε+不定詞で表される. 否定はμή」を意図した課題文。 οὕτωは指示代名詞οὗτος(この)の副詞。 続く語が母音で始まるとき、οὕτωςになる。 ἀγαθὸς ἦνと述語的に現れる形容詞ἀγαθόςが男性形のため、主語は「彼」一択と判断する。
文意の流れをみると、このように(οὕτω)彼はἀγαθόςであった(過去においてそのような状態であると認識し続けていたので未完了)、という認識がある。 その結果として話者のロジックに従った結論(ὥστε)が、φεύγωすることはない(μή)、というもの。
ὥστε+不定詞は「当然起こる, あるいは十分起こりうると考えられる結果」であることに注意。 その判断を下しているは話者であり、μὴ φεύγεινということは実際にそうなるかもしれないし、そうならないかもしれない。 そのため、この不定詞部分は現在のみが妥当であろうと判断する。
つまり、 「このように(οὕτω)彼はἀγαθόςであった、その結果として推察するに(ὥστε)、φεύγωすることはない(μή)」、くらいが文意。
ἀγαθόςは意味の広い言葉。 「善良な」と解すれば、何か社会的な通念としては許されない行動を(恐らくは意図せずに)してしまい、その裁判や調停の場からφεύγωすることはない、と話者は判断していると考えられる。
「勇敢な」と解すれば、何か戦闘が近く起こることがほぼ確定しており、彼の挙動が話題に上がった時に話者がφεύγωすることはない、と判断していると考えられる。 どちらで解釈するにしても実際そうなるかどうかは、その時になってみないとわからない。
出典が不明なので、形容詞ἀγαθόςをどのように解釈できるかには幅がある。 上記二例の他にも、解釈の可能性はあると思われる。 しかし課題文の意図としては、そのあたりは、どうでもいいのかもしれない。