練習 10.4
課題文
κάτοπτρον εἴδους χαλκός ἐστ᾿, οἶνος δὲ νοῦ.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
κάτοπτρον | κάτοπτρον | 中性名詞 | 単数/主格 | 鏡 |
εἴδους | εἶδος | 中性名詞 | 単数/属格 | 姿 |
χαλκός | χαλκός | 中性名詞 | 単数/主格 | 青銅 |
ἐστ᾿ | εἰμί | 動詞 | 三人称/単数/現在/直説法/能動態 | ~である |
οἶνος | οἶνος | 男性名詞 | 単数/主格 | 葡萄酒 |
δέ | δέ | 小辞 | この語は変化しない | そして |
νοῦ | νοῦς | 男性名詞 | 単数/属格 | 心 |
脚注
特になし。
出典と翻訳
Αἰσχύλος, 断片393N
メモ
属格εἴδουςはアッティカ方言形で、P. 39, §60.のγένοςと同様の変化をする、と把握できることが本課題文の主旨と思われる。 LSJではεἶδοςの単数/属格はεἴδεοςであり、これが母音融合してεἴδουςになっている。
文の前半だけをまず考える。 ἐστίがあるので、κάτοπτρον=χαλκόςという構造であろうということがわかる。 属格のがどちらに付き、主語がどちらかを見ていくと
- κάτοπτρονはεἶδοςのχαλκόςである
- εἶδοςのκάτοπτρονはχαλκόςである
- χαλκόςはεἶδοςのκάτοπτρονである
- εἶδοςのχαλκόςはκάτοπτρονである
などが考えられるが、文意が通っていそうなのは「χαλκόςはεἶδοςのκάτοπτρονである」であろうことがわかる。
後半は同じ構造で省略可能なものは省略していると考えると、「その一方でοἶνοςはνοῦςの〇〇である」であろうと思われる。 この〇〇に入るのは前半の構造から考えるとκάτοπτρονであろうと思われる。
一応、先に選んだ前半部の内容で、別のパターンを考えると「χαλκόςはνοῦςのοἶνοςである」となり、意味のある内容と思われない。
これらをまとめると、「χαλκόςはεἶδοςのκάτοπτρονであり(εἰμί)、そして(δέ)οἶνοςはνοῦςの(κάτοπτρονである)」くらいの内容が文意と思われる。