練習 10.5
課題文
ἐλευθέρου ἐστὶν ἀνδρὸς ἀλήθειαν λέγειν.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
ἐλευθέρου | ἐλεύθερος | 形容詞 | 男性/単数/属格 | 自由な |
ἐστίν | εἰμί | 動詞 | 三人称/単数/現在/直説法/能動態 | ~である |
ἀνδρός | ἀνήρ | 男性名詞 | 単数/属格 | 男, 人 |
ἀλήθειαν | ἀλήθεια | 女性名詞 | 単数/対格 | 真実 |
λέγειν | λέγω | 動詞 | 不定詞/現在/能動態 | 言う |
脚注
ἐλευθέρου ἀνδρός : 人の性質, 習慣, 義務などを表す属格。 「自由人の(すること, つとめ)」の意。
出典と翻訳
不明。
ただしEdited by Marinos Yeroulanos, A Dictionary of Classical Greek Qutations, I. B. Tauris, 2016によれば、メナンドロスのMonosticha 234に
ἐλευθέρου γάρ ἐστι τἀληθῆ λέγειν.
To speak the truth is the privilege of the free.
がある由。
τάληθῆは「秘匿されていない(unconcealed)」とか「真実の(true)」、「現実の(real)」を意味する形容詞ἀληθήςの中性/複数/主格(または呼格または対格)形。 中性としたのは、不定詞を名詞として扱う時は中性であるため。 訳す際には副詞的に考えるのが、日本語としては自然に感じる。
この形は男性または女性/単数/対格も同形であるので、本課題文と同じ構成と考えるならば、形容詞を名詞的に考え、女性/単数/対格と捉える方がよいと思われる。 どちらで考えても、日本語にしてしまうと違いがあまりわからない。
ἀνδρόςの語がないが、文意は本課題文とほぼ同じ。 英訳ではこの属格を「すること, つとめ」と義務的な意味にとらずにprivilege(名誉とか特権のようなニュアンス)としている。
メモ
ἀνδρόςがP. 39, §59.にある変化表の一番右にあるἀνήρの単数/属格で、-ρ語幹の第三変化名詞であると把握することが、本課題文の主旨と思われる。
対格で表されるἀλήθειανを不定詞λέγεινの主語ととると文意が判らなくなるので、ここではλέγεινの目的語と考える。 これらをまとめると、「ἀλήθειαをλέγωすることは、自由人のつとめ(義務の属格, 脚注参照)である(εἰμί)」くらいの内容が文意と思われる。