練習 12.5
課題文
ἐκ τῶν αὐτῶν αἰτιῶν οὐκ ἀεὶ ἀποβαίνει ταὐτά.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
ἐκ | ἐκ | 前置詞 | この語は変化しない | (属格の)中から |
τῶν | ὁ | 定冠詞 | 女性/複数/属格 | αἰτιῶνにかかる |
αὐτῶν | αὐτός | 強意代名詞 | 女性/複数/属格 | 同じ |
ἀἰτιῶν | ἀἰτιά | 女性名詞 | 複数/属格 | 原因 |
οὐκ | οὐ | 否定辞 | この語は変化しない | ~ない |
ἀεί | ἀεί | 副詞 | この語は変化しない | 常に |
ἀποβαίνει | ἀποβαίνω | 動詞 | 三人称/単数/現在/直説法/能動態 | ~の結果となる, 生じる |
ταὐτά | 脚注参照 | 定冠詞+強意代名詞 | 中性/複数/主格 | メモ参照 |
脚注
ταὐτά = τὰ αὐτά, 母音縮合(crasis, P.7, §13.2)
出典と翻訳
不明。
メモ
文中のαὐτῶνおよびταὐτάが強意代名詞であることを理解するのが、本課題文の要旨であると思われる。
定冠詞τῶνは強意代名詞αὐτῶνではなく女性名詞αἰτιῶνにかかると読む。 そうすると強意代名詞はαὐτῶνは女性名詞αἰτιῶνに対して限定的位置(P.12, §21)をとっていることがわかり、この場合のαὐτόςは「同じ」という意味を示している(P.48, §67.2)であろうことがわかる。
であるならば、文末のταὐτά(=τὰ αὐτά)のαὐτάも「同じ(もの, こと)」であろうと推測できる。 (この主張に納得できない場合、「それ自身」とした場合の文意や、斜格(この場合は対格)用法だとした場合の主語は何か、を考えてみるのは、よい考察になると思う)
それらから考え併せると、否定辞οὐκは部分否定と考えるのがよさそうだと思われる。 そうでないと「同じαἰτίαから同じαὐτάが生じない」という因果律を無視した主張になってしまう。
やはり部分否定として「同じαἰτίαから同じαὐτάが生じるとは限らない」と解釈するのが、本課題文の文意としては適切であると思われる。