練習 13.1
課題文
ἥδιον οὐδὲν ἔρωτος.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
ἥδιον | ἡδίωv | 形容詞 | 中性/単数/主格 | より甘い, より楽しい |
οὐδέν | οὐδείς | 形容詞 | 中性/単数/主格 | 誰(何)も~ない |
ἔρωτος | ἔρως | 男性名詞 | 単数/属格 | 愛, 恋 |
脚注
特になし。
出典と翻訳
不明。
ただし、『ギリシア詞華集』5.170には紀元前4世紀ころの女流詩人ノッシスの言葉として
ἅδιον οὐδὲν ἔρωτος, ἔρωτος δεύτερα πάντα ἐστίν· ἀπὸ στόματος δ᾿ ἔπτυσα καὶ τὸ μέλι. τοῦτο λέγει Νοσσίς· τινὰ δ᾿ ἁ Κύπρις οὐκ ἐφίλασεν, οὐκ οἶδεν τήνας ἄνθεα ποῖα ῥόδα.
「愛よりも甘美なるもの、何物もなし。なべての喜ばしものとても
愛にはおよばず。われはかの甘き蜜さえ苦く覚えて吐き出しぬ」。
かく言うはノッシス。キュプリスの愛享けしことなき人は、
ついには知らじ、かの女神の
(沓掛良彦 訳)
とするものがある。 ἅδιονはἥδιονのドーリス方言形。
メモ
本課の学習内容が、形容詞および副詞の比較とἡδίωνの変化であり、まさにἥδιονがἡδύςの比較級であるἡδίωνの中性/単数。 ἔρωτοςの属格は比較の対象である属格(P.51, §73.2)。
よりἡδύςなもの(中性/単数)はοὐδείς(中性/単数)である、(その比較の対象として)ἔρωςよりも、というのが直訳。
まとめると、「ἔρωςよりもἡδύςなものはοὐδείςである」くらいの内容が本課題文の文意であると思われる。