練習 14.1
課題文
ὁ χρόνος τὰ ἄδηλα δηλοῖ.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
ὁ | ὁ | 定冠詞 | 男性/単数/主格 | χρόνοςにかかる |
χρόνος | χρόνος | 男性名詞 | 単数/主格 | 時間 |
τά | ὁ | 定冠詞 | 中性/複数/対格 | ἄδηλαにかかる |
ἄδηλα | ἄδηλος | 形容詞 | 中性/複数/対格 | 明らかでない |
δηλοῖ | δηλόω | 動詞 | 三人称 /単数/現在/直説法/能動態 | 明らかにする |
脚注
特になし。
出典と翻訳
不明。
メモ
動詞δηλόωの変化が本課の要点なので、δηλοῖがどのような形であるかを判別できることが、本課題文の主題と思われる。 δηλόωの変化はP.55, §79.にある変化表の通り。
ここでのδηλοῖは三人称/単数/現在/直説法/能動態。 他に二人称/単数/現在/直説法/中受動態や二人称/単数/現在/接続法/能動態、三人称/単数/現在/希求法/能動態などが同形ではあるが、中受動態は第25課(P.100)、接続法は第22課(P.85)、希求法は第23課(P.90)で学ぶ。
但し、希求法でのδηλοῖは巻末(P.178)の変化表に別形として出て来る。 本文中(P.90, §118)では、三人称/単数/現在/希求法/能動態の形はδηλοίηとして書かれている。
繰り返しになるが、本課の主題は直説法/能動態における現在および未完了過去の変化なので、ここでのδηλοῖは三人称/単数/現在/直説法/能動態。 原則としてはδηλόειとなるところが、幹末母音のοと、いろいろと複合された(直説法/能動態における人称語尾の原則はP.22, §36)人称語尾ειが母音融合してοι(P.54, §77.3)となり、アクセントが本来前側にある幹末母音οにあるので曲アクセントをとるので、δηλοῖのような形となっている。
中性は主格と対格が同形なので、τὰ ἄδηλαを主格と考えたくなるかもしれない。 しかし、ὁ χρόνοςは男性名詞の主格一択であるし、動詞δηλόωは明らかにする対象を目的語に持つハズなので、ここでは対格と考える。 ἄδηλαは本来は形容詞だが、定冠詞τάを得て名詞化されている。
まとめると、「χρόνοςはἄδηλοςなことどもをδηλόωする」くらいの内容が、本課題文の文意と思われる。