§3.二重母音について
二重母音(複母音)
二重母音は以下に示す11の組合せがある。 二重母音は一つの音節とみなされるので、韻律を解析するときに重要になってくる。
綴り | 音価 | ローマ字 | 綴り | 音価 | ローマ字 | 綴り | 音価 | ローマ字 | ||
αι | [ai] | ai | ᾱι | [aːi] | āi | αυ | [au] | au | ||
ει | [ei] | ei | ηι | [eːi] | ēi | ευ | [eu] | eu | ||
οι | [oi] | oi | ωι | [ɔːi] | ōi | ου | [uː] | ū | ||
υι | [yi] | yi | ηυ | [eːu] | ēu |
υは二重母音の第二母音として現れるときは、yではなくuと発音されていることに注意。 また、ουの読みにも注意。
ειの異読
ειは紀元前5世紀ころには、狭いeの長母音([ẹː])として発音されていたらしい。 (マルティン・チエシュコ, p.18およびp.21)
ᾱι, ηι, ωιの異読
ᾱιおよびηιおよびωιは、紀元前100年ころには[aː]や[eː]や[ɔː]のようにイオタが発音されなくなっていたらしい。 その後綴り字にも書かれないようになったが、紀元後11世紀頃に小文字で表記するときは下書きのイオタとして表記するようになった。
二重母音の「長さ」
二重母音の音節は全て「長い」音節(‒)になる。 つまり⏑⏑や‒⏑とはならない。
ただし、語末のαιおよびοιは「短い」音節(⏑)として扱う。 οιに関しては、以下の場合は例外的に「長い」音節(‒)に戻る。
下書きのイオタと並書きのイオタ
分離符