§84.
ἡδύςの変化
ἡδύςの変化
数 | 格 | 性 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 中性 | |||||
単数 | 主格 | ἡδύς | ἡδεῖα | ἡδύ | |||
呼格 | ἡδύ | ἡδεῖα | ἡδύ | ||||
対格 | ἡδύν | ἡδεῖαν | ἡδύ | ||||
属格 | ἡδέος | (ἡδείᾱς) | ἡδείᾱς | ἡδέος | |||
与格 | (ἡδέϊ) | ἡδεῖ | (ἡδεῖαϊ) | ἡδείᾳ | (ἡδέϊ) | ἡδεῖ | |
複数 | 主格/呼格 | (ἡδέες) | ἡδεῖς | (ἡδεῖαι) | ἡδεῖαι | ἡδέα | |
対格 | (ἡδέις) | ἡδεῖς | (ἡδεῖανς) | ἡδείᾱς | ἡδέα | ||
属格 | ἡδέων | (ἡδειάων) | ἡδειῶν | ἡδέων | |||
与格 | ἡδέσι(ν) | (ἡδεῖαις) | ἡδείαις | ἡδέσι(ν) | |||
双数 | 主格/呼格/対格 | (ἡδέε) | ἡδεῖ | ἡδείᾱ | (ἡδέε) | ἡδεῖ | |
属格/与格 | ἡδέοιν | (ἡδεῖαιν) | ἡδείαιν | ἡδέοιν |
- この形容詞は第三(男性)-第一(女性)-第三(中性)変化をとる。
- 語幹もしくは幹末母音が融合した残りの語幹部分および融合した母音に色をつけてみると、男性および中性では、ἡδύ-, ἡδέと形が変わって(母音交代して)いることがわかる。
- 母音の融合規則は§77(P.54)にあるが、より詳しいリストはSmyth §59.を参照のこと
- 女性形の語幹は実際にはἡδευ-に女性形を作る接尾辞-ιαを加えてできたもの。 υは子音化して脱落している。
- Smyth §297では女性/単数/主格でἡδυ-の「強い」形であるἡδεϝ- = ἡδευ̯-に-ι̯αを加えているとしている。
- υ̯は半母音としてのυを表す。
- ϝは紀元前100年ころには使われなくなった(使われなくなった時期は、地域によってかなり異なる)文字ディガンマで、音価はwであるとされている。
- ι̯もやはり半母音としてのιで、本によって — たとえばマルティン・チエシュコなどはラテン文字j、Smythの§22.ではイタリック体のラテン文字y — のように表記していることもある。
- 男性/複数/対格形は、主格形を借用したもの。 本テキスト内では、このような例は§60.4(P.40)や§62.3(P.44)にも見られる。
- Smythでは、双数での男性および中性/主格, 呼格, 対格の形をἡδέεとしている。