練習 4.8

課題文

ὁ δ᾿ ὄλβος οὐ βέβαιος, ἀλλ᾿ ἐφήμερος.

語彙

文中の語 見出語形 品詞 変化形 主な意味
定冠詞 男性/単数/主格 ὄλβοςにかかる
δ᾿ δέ 小辞 この語は変化しない 話者の話題や視点を変える
ὄλβος ὄλβος 男性名詞 単数/主格 幸福, 富
οὐ οὐ 否定辞 この語は変化しない 脚注参照
βέβαιος βέβαιος 形容詞 男性/単数/主格 確固とした
ἀλλ᾿ ἀλλά 小辞 この語は変化しない 脚注参照
ἐφήμερος ἐφήμερος 形容詞 男性/単数/主格 一日かぎりの, つかの間の

脚注

ἀλλ᾿ = ἀλλά(§13.1)。 οὐ…ἀλλάά…は英語のnot…but…に同じ。

出典と翻訳

エウリーピデース, 『フェニキアの女たち』, 558行目

οὔτοι τὰ χρήματ᾽ ἴδια κέκτηνται βροτοί, 555 τὰ τῶν θεῶν δ᾽ ἔχοντες ἐπιμελούμεθα·556 ὅταν δὲ χρῄζωσ᾽, αὔτ᾽ ἀφαιροῦνται πάλιν. 557 ὁ δ᾽ ὄλβος οὐ βέβαιος, ἀλλ᾽ ἐφήμερος. 558

もともと人間には固有の富などなく、 神々の富を預かって持っているものです。 神様が必要となされば、いつでもまた取返してしまわれます。 現世の富は確かなものではなく、束の間のものにすぎません。 (大竹敏雄 訳)

メモ

脚注を見ながら解するに、「ὄλβοςβέβαιοςではなくてἐφήμεροςである」、という文。 もう、まんまですね。

課題の要点からは大きく外れるのですが、556、557、558行でδέを使いながら、少しずつ視点を変えて言い聞かせているのが面白いなぁ、と感じます。 この原文を読んだときに感じる細かいニュアンスを言葉にするのは、難しいと感じています。 だからこそ、元の文を原語で読むのは楽しいなぁ、と強く感じます。


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