§3.
直説法の用法(目次)
英語原文
The indicative may also express
(a) A dependent statement (or quotation) of such an absolute assertion or question. E.g.
Λέγει ὅτι γράφει, he says that he is writing (he says γράφω) ; λέγει ὅτι γράψει, he says that he will write (he says γράψω) ; ἐρωτᾷ τί ἐγράψαμεν, he asks what we wrote ; ἐρωτᾷ εἰ ἔγραψα, he asks whether I wrote.
(b) A distinct statement of an object aimed at or feared. E.g.
Ἐπιμελεῖται ὅπως τοῦτο γενήσεται, he takes care that this shall be done (339) ; φοβούμεθα μὴ ἀμφοτέρων ἡμαρτήκαμεν, we fear that we have missed both (369, 2).
(c) A distinct supposition of an absolute statement, that is, a supposition that such a statement is, was, or will be true. E.g.
Εἰ γράφει, if he is writing ; εἰ ἔγραψεν, if he wrote ; εἰ γέγραγε, if he has written ; εἰ γράψει, if he shall write or if he is to write. What is supposed in each case could be expressed by γράφει, ἔγραψεν, γέγραφε, or γράψει.
日本語解釈
直説法は、以下のようなニュアンスも持つことがある。
(a) 以下のような独立した主張または疑問における従属文(または疑問文)。 例えば…
λέγει ὅτι γράφει.
彼(彼女)は書いている、と彼(彼女)は言っている。
(彼(彼女)は γράφω と言っている。)
λέγει も γράφει も三人称/単数/現在/直説法/能動態。
二つの動詞の主語は同じと考える。
異なるときは混乱を避けるために、どちらかに代名詞が使われると思われる。
これは、この項目の次の例文でも同じ。
λέγει ὅτι γράψει.
彼(彼女)は書くだろうと彼(彼女)は言う。
(彼(彼女)は γράψω と言っている。)
γράψει は γράφω の三人称/単数/未来/直説法/能動態。
ἐρωτᾷ τί ἐγράψαμεν.
我々が何を書いているのかと彼は尋ねている。
ἐρωτᾷ は ἐρωτάω の三人称/単数/現在/直説法/能動態。動詞幹末母音と人称語尾で母音が連続するために
ἐρωτάει → ἐρωτᾶι(ε+α=ᾱ) → ἐρωτᾷ(ᾱ+ι=ᾳ)
のように形が変わる。
ἐγράψαμεν は γράφω の一人称/単数/現在/直説法/能動態。
二つの動詞で主語が異なるので、動詞の人称と数の情報があるために代名詞は取らなくてもよい。
むしろ何らかの主語を明示するときは、その主語を強調したいときや、文脈からは読み取りづらいときである。
ἐρωτᾷ εἰ ἔγραψα.
彼(彼女)は私が書いたかどうか、と尋ねている。
ἔγραψα は γράφω の一人称/単数/アオリスト/直説法/能動態。
(b) 目的語が何かにフォーカスしたもの又は恐れの対象となっている明瞭な主張。 例えば…
ἐπιμελεῖται ὅπως τοῦτο γενήσεται.
彼はそれがしかるべく行われるように気を配っている。(339)
ἐπιμελεῖται は ἐπιμελέομαι の三人称/単数/現在/直説法/中受動態。
この動詞は能動態欠如動詞であり、中動態として解釈したときの意味は能動態的である。
φοβούμεθα μὴ ἀμφοτέρων ἡμαρτήκαμεν.
私たちは、そのどちらもできないのではないかと恐れている(369, 2)。
φοβούμεθα は φοβέω の一人称/複数/現在/直説法/中受動態。
この語は中受動態で「何か気がかりなことを恐れる(in the sense to be put to flight )」とか、「恐怖にとらわれて動けない状態(to be seized with fear)」を意味する。
ἡμαρτήκαμενはἁμαρτάνωの一人称/複数/現在完了/直説法/能動態。
(c) absolute statementにおける明瞭な仮定。 その仮定は過去または現在または未来において(話者にとって)真実とみなされるようなもの。 例えば…
εἰ γράφει.
もしも彼(彼女)が書くとしたら。
γράφει は γράφω の三人称/単数/現在/直説法/能動態。
εἰ ἔγραψεν.
もしも彼(彼女)が書いていたとしたら。
ἔγραψεν は γράφω の三人称/単数/アオリスト/直説法/能動態。
εἰ γέγραφε.
もしも彼(彼女)が書き終えたとしたら。
γέγραφε は γράφω の三人称/単数/現在完了/直説法/能動態。
εἰ γράψει.
もしも彼(彼女)が書くべきだとするなら。
または
もしも彼(彼女)が書こうとするなら。
γράψει は γράφω の三人称/単数/未来/直説法/能動態。
これらの例で表現されている γράφει, ἔγραψεν, γέγραφε, または γράψει という動作は、話者にとって明瞭にイメージされているということに注意。