練習 9.7
課題文
καλὸν καὶ γέρουσι μανθάνειν σοφά.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
καλόν | καλός | 形容詞 | 中性/単数/主格 | 美しい, 素晴らしい |
καί | καί | 小辞 | この語は変化しない | ~でさえも |
γέρουσι | γέρων | 男性名詞 | 複数/与格 | 老人 |
μανθάνειν | μανθάνω | 動詞 | 不定詞/現在/能動態 | 学ぶ |
σοφά | σοφός | 形容詞 | 中性/複数/対格 | 賢い |
脚注
特になし。
出典と翻訳
不明。
ただしストバイオス, 3.29.24にアイスキューロスの言葉(断片396N)として
καλὸν δὲ καὶ γέροντα μανθάνειν σοφά.
たとえ老人であっても知恵を学ぶことは立派なことである。
(逸見喜一郎 川崎義和 高橋克美 共訳, ギリシア悲劇全集 10 アイスキュロス断片集, 岩波書店, P.289)
があり、前掲書によればメナンドロスの『一行格言集(Monosticha)』, 416にも同様の文があるとのこと。
メモ
いくつか思い出しておくことがある。
など。
アイスキューロスの断片との違いは、γέρωνを単数/対格(アイスキューロス)としているか、複数/与格(本課題文)としているか、と小辞δέの有無くらい。 おそらくこの断片ではγέροντα(単数/対格)を不定詞μανθάνεινの主語、σοφά(複数/対格)を不定詞の直接目的語とする一方で、不定詞μανθάνεινを「文の」主語として、ἐστι(ν)が省略された文とし、καλόνを述語的な形容詞として読んでいる。
本課題文では、まず与格で表される男性名詞 γέρουσιが第三変化名詞だと把握することが第一と思われる。 ここでの与格は、本課の内容である限定の与格というよりは、関係の与格(例えばSmyth §1495.)であるように思える。
それらを考え併せると、「καλόςなこと(であるのだ)、γέρωνたちにとって(関係の与格による表現)でさえも(καί)σοφόςなことども(中性/複数による表現)をμανθάνωすること(不定詞)は」くらいの内容が文意と思われる。