練習 13.10
課題文
Προμηθεὺς πρῶτον μὲν ἀνθρώπους καὶ θηρία ἐποίησε. ἔπειτα ὁρῶν ὅτι τὰ θηρία πλείονα ἐστι, ἤλλαχέ τινα εἰς ἀνθρώπους. διὰ δὲ τοῦτο ἔτι εἰσὶν οἳ τὰ μὲν σῶματα ἀνθρώπων τὰς δὲ ψυχὰς θηρίων ἔχουσι.
語彙
文中の語 | 見出語形 | 品詞 | 変化形 | 主な意味 |
Προμηθεύς | Προμηθεύς | 名詞 | 男性/単数/主格 | プロメーテウス |
πρῶτον | πρῶτος | 形容詞 | 中性/単数/主格, 対格 | 最初の, 第一の(ただしここでは副詞) |
μέν | μέν | 小辞 | 不変化詞 | μὲν (A) δὲ (B) : Aである一方でB |
ἀνθρώπους | ἄνθρωπος | 名詞 | 男性/複数/対格 | 人間 |
καί | καί | 小辞 | 不変化詞 | そして |
θηρία | θηρίον | 名詞 | 中性/複数/主格, 対格 | 野獣 |
ἐποίησε | ποιέω | 動詞 | 三人称/単数/アオリスト/直説法/能動態 | つくる, する |
ἔπειτα | ἔπειτα | 副詞 | 不変化詞 | それから, 次に |
ὁρῶν | ὁράω | 分詞(動詞) | 現在分詞/能動態/男性/単数/主格 | 見る |
ὅτι | ὅτι | 接続詞 | 不変化詞 | ~ことを, ~ゆえに |
τά | ὁ | 定冠詞 | 中性/複数/主格, 対格 | |
πλείονα | πλείων | 形容詞 | 中性/複数/主格, 対格 | より多い |
ἐστι | εἰμί | 動詞 | 三人称/単数/現在/直説法/能動態 | ~である, 存在する, 可能である |
ἤλλαξε | ἀλλάττω | 動詞 | 三人称/単数/アオリスト/直説法/能動態 | 変える |
τινα | τις | 不定関係代名詞 | 中性/複数/主格, 対格 | ある物 |
εἰς | εἰς | 前置詞 | 不変化詞 | (対格)の中へ |
διὰ | διὰ | 前置詞 | 不変化詞 | (対格)のゆえに |
δέ | δέ | 小辞 | 不変化詞 | μὲν (A) δὲ (B) : Aである一方でB |
τοῦτο | οὗτος | 指示代名詞 | 中性/単数/主格, 対格 | その |
ἔτι | ἔτι | 副詞 | 不変化詞 | いまだ, なお, さらに |
εἰσίν | εἰμί | 動詞 | 三人称/複数/現在/直説法/能動態 | ~である, 存在する, 可能である |
οἵ | ὅς | 関係代名詞 | 男性/複数/主格 | |
σώματα | σῶμα | 名詞 | 中性/複数/主格, 対格 | 肉体, 身体 |
ἀνθρώπων | ἄνθρωπος | 名詞 | 男性/複数/属格 | 人間 |
τάς | ὁ | 定冠詞 | 女性/複数/対格 | |
ψυχάς | ψυχή | 名詞 | 女性/複数/対格 | 魂 |
θηρίων | θηρίον | 名詞 | 中性/複数/属格 | 野獣 |
ἔχουσι | ἔχω | 動詞 | 三人称/複数/現在/直説法/能動態 | 持つ, ~の状態である |
脚注
- πρῶτον : 形容詞の中性/対格は、単数および複数ともに、そのまま副詞として用いることがある。
- ὁρῶν : ὁράωの現在分詞/能動態/男性/単数/主格(§98参照のこと)。
- οἵの前にοὗτοιのような先行詞を補って考えること。
出典と翻訳
テキストでは明示されていないが、イソップ寓話集に似たエピソード(中務/岩波文庫 240話, Chambry版 322話, Halm版 383話)がある。 Chambry版のテキストでは、以下のように書かれている。
Προμηθεὺς κατὰ πρόσταξιν Διὸς ἀνθρώπους ἔπλασε καὶ θηρία.
Ὁ Ζεὺς θεασάμενος πολλῷ πλείονα τὰ ἄλογα ζῷα ἐκέλευσεν αὐτὸν τῶν θηρίων τινὰ διαφθείροντα ἀνθρώπους μετατυπῶσαι.
Τοῦ δὲ τὸ προσταχθὲν ποιήσαντος, συνέβη ἐκ τούτου τοὺς μὴ ἐξ ἀρχῆς ἀνθρώπους πλασθέντας τὴν μὲν μορφὴν ἀνθρώπων ἔχειν, τὰς δὲ ψυχὰς θηριώδεις.
Πρὸς ἄνδρα σκαιὸν καὶ θηριώδη ὁ λόγος εὔκαιρος.
プロメテウスがゼウスの命に従って人間と動物を拵えました。
ゼウスは考えのない動物どもがはるかに多いのを御覧になって、彼に動物どもの或るものを壊して人間に造り変えるようにお命じになりました。
プロメテウスは命じられたことをやりましたので、その結果初めから人間ではなかったものが造り変えられて、姿は人間のものを、魂は動物のものを持つようなことになりました。
この話は、ねじけた動物的な人間どもに対して当てはまります。
(山本光雄 訳)
メモ
本課の大きなテーマの一つは「形容詞および副詞の比較」なので、 1) πλείοναがπολύςの比較級πλείωνの変化形であること。 2) πλείοναの形は、男性または女性/単数/対格か中性/複数/主格または呼格または対格であるが、「より多い」のは「野獣たち」(τὰ θηρίαと中性名詞で表されている)なので、中性であり、ἐστιの主語となっていることから主格であろうこと。 が判ればよいのであろう。
このとき、中性名詞が主語のときは、複数であっても動詞は単数で受ける(ἐστιはεἰμίの三人称/単数/現在/直説法/能動態形)(第5課の概要を参照)。