第5課 ω動詞 : 直説法/能動態/現在および未来
概観
本課では、初めて動詞の変化(conjugation)を学ぶ。 動詞には大別してω動詞とμι動詞、そして若干の不規則動詞があるが、量的に多いのはω動詞であることから、まずはこの基本的な変化を学ぶ
- ギリシア語の語形変化(inflection)は大きく分けて名詞的変化(declention)と動詞的変化(conjugation)がある
- 本課で学ぶのは、動詞的変化である
- 動詞は、その一人称/単数/現在/直説法/能動態の形から、ω動詞とμι動詞に大別される
- 他に能動態欠如動詞や不規則変化動詞もあるが、今は立ち入らない
- 種類が多いのはω動詞であるが、μι動詞にはよく使われる重要な動詞が少なくない
- 辞書の見出し語は近代語のように不定詞ではなく、一人称/単数/現在/直説法/能動態の形である
- 主語が中性名詞のときは、複数であっても動詞は単数で表すのが原則(cf. Smyth §958)。
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高津の『ギリシア語文法』§297, N2. (P.381)では、この件に関して次のような説明をしている。
この用法は、印欧語族の古い時代に、中性複数形が女性の-ᾱに終わる集合名詞から造られたためであって、中性複数は本来複数というよりは、物の集合を一つに纏めて考えたから、動詞は単数であった。 しかし既に古くからこの集合名詞中に個々の物を認める感じが現れ、これがアッティカ以外の方言で強く現れた。 従って中性複数中の個々の物を見た場合や、中性複数が実際には中性でないものを表しているときには、アッティカ方言でも複数を取ることがある。
§.26 動詞の変化に影響を及ぼす要素
§.27 ω動詞とμι動詞, 辞書の見出し語形
§.28 παιδεύωを例にした直説法/現在および未来/能動態の変化
§.29 動詞の変化形を構成する要素
§.30 閉鎖音幹動詞の綴り字上の変化
§.31 時称接尾辞直前にある動詞幹の末尾の短母音は長音化することについて
§.32 能動態/現在および未来の不定詞について
練習5
- οἱ ποιηταὶ θεραπεόυσι τᾱ̀ς Μούσᾱς.
- ἀεὶ πιστεύομεν τοῖς τῶν φίλων λόγοις.
- οἱ κριταὶ διώξουσι τὴν δικαιοσύνην.
- τοὺς νόνους οἱ Ἀθηναῖοι εἰς λίθους γράφουσιν.
- πόνος πόνῳ πόνον φέρει.
- τὰ δῶρα πείσει καὶ τοὺς θεούς.
- ὁ ἀγαθὸς ἄνθρωπος ἐκ τοῦ ἀγαθοῦ θησαυροῦ ἐκβάλλει ἀγαθά, καὶ ὁ πονηρὸς ἄνθρωπος ἐκ τοῦ πονηροῦ θησαυροῦ ἐκβάλλει πονηρά.
- ῥᾴδιον ἔσται παιδεύειν τοὺς σοφοὺς μαθητάς.
- ὁ νεανίας ἄξει τὸν ἵππον τοῦ στρατηγοῦ διὰ τοῦ πεδίου.
- οἱ στρατιῶται ἐθέλουσι φεύγειν ἐκ τῆς κώμης.